編成の向きが変わるという現象 ーどのようにして起きるのかー

前回記事(電光掲示板(発車票)の見方)でも取り上げたが、
特にICEは、編成が逆向きで駅に到着することが頻繁にある

なぜ編成の向きが変わるのか、どのようにして変わるのか。
ヨーロッパの鉄道を知っている人には、大体予想がつくかもしれないが、
DBが公式に発表しているので、解説していきたい。

最初に結論から申し上げれば、
迂回・遅延回避・工事等で、本来と違う経路を通った結果起きてしまう。
これはヨーロッパによくある、行き止まり式(以下、頭端式)の駅とも関連している。
頭端式って何?っという方は以下参照
https://ja.wikipedia.org/wiki/頭端式ホーム

ここで、DBは具体例を挙げている。
地図を載せてほしいという意見があったので、載せる事にした。
過去の記事にも追加予定、今後も地名をあげたらできるだけ地図を載せたいと思う。

ICEtracks.svg.png
こちらの地図を見ていただきたい。ICEのネットワークである。
(地図は2014-2015版のため、Erfurt-Halleは青線になっているが高速線が開業したため300km/h対応の赤線)
北のハンブルク(Hamburg)から、ハノーファー(Hannover)、ヴュルツブルク(Würzburg)、ニュルンベルク(Nürnberg)を経て、南のミュンヘン(München)に行く列車を想定してほしい。(ICE25系統)

Umleitungen.png
ハンブルク中央駅から1等車を先頭に、南のミュンヘン中央駅まで走る。通常、ミュンヘン中央駅には1等車が車止め寄りに到着する。(基本的に1等車は駅の出入り口が近い車止め寄りに来るよう設定される。出来るだけ1等の乗客に歩かせないよう配慮。)
念のため編成表。機材はICE3、8両編成と仮定。
|2|2|2|2|食|2|1|1| → ミュンヘン方面 (2=2等、食=食堂車、1=1等)


②ところが、本来通るはずの赤い線ニュルンベルク〜インゴルシュタット(Ingolstadt)が何らかの理由で不通になってしまったとする。 そこで、黄色い線のアウクスブルク(Augsburg)経由で迂回する事になるが、その際は方向転換しないといけない。(2の右上の図を参照)。
  |2|2|2|2|食|2|1|1| → × 本来の経路 / Ursprüngliche Strecke
迂回/Umleitung ← |2|2|2|2|食|2|1|1|

迂回した結果、編成の向きがひっくり返り、ミュンヘン中央駅には2等が先頭になって到着してしまう。1等利用者からしたら数百メートル歩くはめになるので迷惑な話だが、これはどうしても避けられない。


どうすれば編成の向きを変えられるか。

残念ながら、編成を鉄道模型のごとく瞬時に変えるのは難しい。
しかし、理論上直せる方法はある。主に2つ。

①頭端式の駅を飛ばす。
経路上に頭端式の駅がある場合、そこを経由しなければ編成の向きを戻せるが、乗客に移動させる等不便をかけさせることになる。
フランクフルト周辺.png
(ICEの進行方向は右上から左下、ミュンヘンからフランクフルト空港方面)

ありそうな例
ミュンヘンからニュルンベルク経由でフランクフルト中央駅で方向転換をしてケルンに向かう、向きがいつもと逆のICEが、方向転換が必要なフランクフルト中央駅に立ち寄らずに、途中経路上にあるフランクフルト南駅で客扱いし、そのままフランクフルト空港駅に行く。こうすれば理論上、編成の向きは元に戻せるが、中央駅から乗ろうとしていた人は移動しないといけない。しかし、編成の向きを変える為だけにはこんなことはできない。

ただ、フランクフルト中央駅に向かう経路上で工事がある場合は、上記の様なショートカットをして、結果的に編成がひっくり返ることは大いにあり得る。最初に編成の向きが変わる理由に挙げた工事があると、いつもと違う線を通る事になるから、編成の向きが変わる可能性がある。
工事の情報はあらかじめ告知されるし、工事の影響で乗車駅が変わるとなれば、DBのサイトやInformation等で情報を得られる。

Kopfbahnhof1.png
②途中駅で方向転換する。
途中駅に方向転換できる経路があり、運転士が端の車両に移動する時間に余裕がある場合にされる。DBはマンハイム中央駅(Mannheim Hbf)を例に挙げているが、筆者もマンハイムで同じ経験をした事がある。マンハイムは通過式の駅のため、通常は方向転換をしないが、逆向きに走ったので非常に驚いた覚えがある。


しかし、方向転換は時間がかかってしまう。
DBの方針としては、方向転換して30分遅れで列車を到着させるくらいなら、ホーム上の乗客をより歩かせる方を選択する。つまり定時制を優先するということだ。当然だろう。編成をひっくり返してでも時間通りに走らせたいということである。

また、経路上で問題が起きても簡単に運休にせずに、編成をひっくり返してでも迂回できるのはDBならではの強みである。
どこかの日本の新幹線が沿線の火事ごときで9時間も止まっていたことと比較すれば、編成の向きが変わるくらいどうって事ないと思えるだろう。


というわけで編成の向きが変わるのは、やむを得ない。
DBをご利用の際は、編成の向きが変わる背景を頭の片隅に入れていただければと思う。


<参考文献(ソース)>
DB Inside Bahn Umgekehrte Wagenreihung
https://inside.bahn.de/infografik-umgekehrte-wagenreihung/

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